周八枚 LIGHT LENS LAB 35mm / f2
僕のXを見てくれてる方ならご存知かと思うのですが、そうです、すっかりこいつに夢中です。
仕事以外ほとんどこいつになってます。
撮影の仕事がおかげさまで結構軌道に乗り始めまして、本業の方ではNikon Z機やGFXを振り回してキメキメの写真をビシバシ撮ってるわけで、そうなるとプライベートでキメキメの写真を撮る気が失せてしまうんですよ。
それやっちゃうとなんかフィクションぽく感じるというか。
そういえば年末にXで「勝手にFOTONE大賞」なんてものをやったんです。
文字通り勝手に2023年に僕がいいねした写真のなかでこれよかったなあってものをポストしただけなんですけど、その際いざ写真を選別しようとするととにかくキメキメの写真を避けてしまったのは自分でも驚きました。
人によってはこれが賞取るんだって思ったかもしれない、でもいざ選ぶとなるとあざとさがめちゃくちゃ目につく。自分の写真も含めて。
あと仕事の写真よりもプライベートの写真の方が断然いい。血が通ってると言うか、とにかくより自然に、よりスナップに向かう…
スナップとは写真の行き着く先なのか、つまり悟り…?
ちょっと話を遡ります、2022の年末にLEICA M10モノクロームのレビューをやってますが、売り払って夏頃にLEICA M10ポチったんですよ。
ブログの中でもあえてモノクロームにすることで縛りを得て最高の描写を手に入れるとか偉そうなこと言ってましたが、正直難しかった。
というかやっぱ飽きた。
春頃にはすっかり置物と化していたモノクローム。それでもプライベートではライカ連れてブラブラしたいという欲求に逆らえず、箱無しの綺麗な個体が安くマップに登場してたのでわりと迷うことなくポチ。
今回はシルバーです。
アラフィフになるとシルバーがね、よく見えるんですよ。なんすかねこれ。肉やラーメンよりうどんが好っき。
まーでも若いときより今の方が確実にシルバーが似合うようになりました。年の功ですね。
そして話を戻しますが、めちゃくちゃスナップ感出てると思いませんか。CONTAX T2で撮ったようなフィルム感マシマシのスナップ感。
ラフに撮った感じとフィルム感、かつてないくらいに出ます。
上の一枚からそれを見てとって欲しいのですが、まずひとつ大きなポイントがあります!
なんとこのレンズ異常にフリンジが出ません。
頭部の逆光部分、よく見てください。こんなに厳しい環境なのに出ないんですよ。
それだけかよ、と思うかもしれませんが、僕の経験上これはすごく大きい。
人物の輪郭に赤や緑の線が入るだけで結構デジタル感が出てきちゃいます。
こんなにエグい環境でもフリンジが出てきません。
まあ、そういうレンズは得てして発色が悪いとも言えるわけで、フィルムだと相当渋い発色の描写になるはずです。
さてこのレンズの紹介も少し。
周八枚、中国の資産家周さんが始めたレンズメーカー「LIGHT LENS LAB」が最初に開発したレンズで、この周八枚はライカの第一世代SUMMICRON35mm/f2のレプリカになります。世間では八枚玉と言われて高値で取引されてるいわゆる銘レンズのひとつ。
SUMMICRONと言えばシャープが売りですが、このレンズは柔らかいオールド感が売りでこの周八枚もその辺をしっかりと抑えた見事なレプリカと言えます。
特にルックスは素晴らしく、所有欲をガッツリ満たしてくれます。
正直写りにはそれほど期待はしてなかったのですが、シルバーライカをゲットしてシルバーの小さくて美しいレンズ、そして35mmで軽快にスナップを撮りたいという一心で特に考えもなくポチ。
実際世間の作例を見てもこの八枚玉の微妙というか絶妙な描写の素晴らしさは感じづらい。
結構普通に見えますw
ただ、フォクトレンダーあたりの35mmとかもうミラーレスレンズ世代で開放からしっかり解像しちゃってて写りも大体想像がついたので面白そうだなくらいの気持ちでポチりました。
手に入れた最初のテストでは赤色系の発色がかなり弱くてライカのセンサーも相まってあまりいい印象はなかったくらいですが、このフリンジが全く出ないことに気づいてからはさらに使い込み、絶妙な柔らかさに開眼し、プライベートでは第一席をゲット。もはや王者の風格すらあります。
それではこの美しいレンズとともに出かけましょう!!
え、なんすか?
なんか文句あります??
超かっこいいですよね。
周八枚にAF化アダプターをつけてNikon Z8に装着するとみごとにシンデレラフィットします。
下に出っ張った部分と高さが完全一致。Zfよりもしっくりくる。
そしてこのAF化アダプターは信頼と実績のFOTODIOX製、他社よりも確実にビシバシに合ってきます。
ニコン信頼の3Dトラッキング、瞳AFが普通に使える。
なにも迷うことはないですよね。
では作例を続けます。
伝わるかなあ、この絶妙な写り。
フィルムライクに絶対的に必要な甘さ。しかもノスタルジックな写りではない自然な甘さ。
あざとくもなく、ピント面がフっと力が抜けるような脱力感。これがアナログ感に繋がってくる。
絞ってもいないのに木漏れ日の部分、全く色収差が出ていません。驚愕!
このやりすぎない、でも物足りなくもないボケ量、多分こういうのを銘レンズというんだと思う。
巨匠のプライベートショット感が出てきてひとりで街をブラブラしてこれだけ撮れると楽しくなってきます。
あ、僕は現像時に周辺減光を修正してます。好みの問題ですが、普通に撮るとズミクロンらしく結構減光あります。
そしてこの写り!!
こういうのってフィルムじゃないと無理だと思ってました。
でも長年の経験からこういうのも周八枚ならいけると思って撮る機会があったのですがまじでいけた。
でこの撮影の際に閃いたんですよね、フィルムライクにとってかなり大事なことに。
この撮影の際はカメラの露出がかなりアンダーに合わせてくれてその結果この現像につながりました。
撮影時の露出だと海面はほぼ真っ暗なくらい、でもそのおかげでハイライトに情報がしっかりと残ってくれてこの現像が可能になりました。
ライカではこうはならんかったろうな。さすがNikon。
あ、こうみえてまだニコンアンバサダー狙ってます。諦めてません。
つまり何が言いたいかというと、露出は常に2〜3段マイナスで撮るべし!!
特にライカ機においては白飛びの粘りが全然ないので、普通によくなります。
ライカだけでなくNikonでも2段は下げて撮ってよし、たとえNikonだろうがGFXに比べたらハイライトの粘りは大したことない範疇だと思う。しっかり下げて撮ってハイライトを補っていきたい。
いや、そんなことしたらシャドーの情報が悪くなるじゃん、という思うかもしれない。
気にすんな。
やってみたところ大したことない。
それより、無理やり上げたシャドーに変な柔らかさのようなものが生まれてむしろいい。
とにかくハイライトの情報がしっかり残ることのメリットの方がはるかに大きい。
全然シャドー部の破綻とか見えないですよね。
とにかくラフさを出すために水平垂直はほぼ無視、日の丸構図でヨッと構えてホッと撮るスタイル。
プライベートな大切な時間を残せる気がする。
普段滅多に撮らない横トリミングもシネマチックに効いてる!
また、Nikon機で使っているときは頻繁にDXモード(APS-Cモード)に切り替えて50mm画角として使っていました。
周辺減光もなくなり、使い慣れた50mm画角でラフに撮れます。
少々画質が落ちようが、全然気にしない。
実際十分綺麗です。問題ない。
これとかわかるかなあ。
拡大してみて欲しい、ものすごいレベルでのフィルム感だと思う。
とにかく絶妙に甘い。絶妙というか完璧。
ハイライトならなんでもかんでも滲むわけではなくて、ほんとに最高輝度の部分だけじわっと滲むというか、高度なフィルムっぽさが表現できると、そこに時間を感じさせます。
安易だけど単純に懐かしさみたいなものが生まれてそれはひとつの愛が宿ってるということだと思う。
ライカを置物にするのもかわいそうなので家の中だけではちょっと使ったります。
外でライカを使うともたついてイラッとしますが、家の中ならまあ許せる。
そこでハッとしました、、
そうか、だから上田義彦氏も傑作 ” at Home “ でライカを使ってたのか。なるほど。
それでat Homeか。
そうだったのか。。
左手のハイライトの写り、たまんないですよね。
僕はフィルムライクというか、昔の雑誌や写真集の1ページのような現像を目指しています。
そういうのにも周八枚はいい仕事をしてくれる。
ライカだとこどもらにカメラを預けても異常にピントを外してきますが、Z8ならちゃんと合わせてくれます。
ちなみに写真の僕はフィルムのNikon F6をお借りして撮っています。めちゃくちゃ肩の力入ってますw
どうぞ皆さんは周八枚を手に入れて肩の力を抜いて大切な人の自然な感じを撮って欲しい。
いやほんとにね、僕は思うんです。
年取ってから渋くかっこよく撮られてもそんなに嬉しくないから。
女性だと尚更だぞ。
GFXと純正レンズで妙齢の女性撮ったりしないように。
まじで。
おれは写真上手いから大丈夫とかそんな例外は一切ない。断言する。
どうしてもって言うなら周八枚で撮ったらええねん。
みんなそれで喜ぶから。
ほんまに。
最後に激推し周八枚を買う時の注意点だぞ。
このLIGHT LENS LABのレンズ、見た目は最高なのに結構精度が低い…
最初に通販で買ったんですが、なんかフォーカスリングがキシキシする。。
安くない買い物だったので、マップ新宿店に持ち込んで他のものと替えてもらったんですけど、他のものも結構動きが微妙。。
たまたまひとついい感じに動いたので運良く交換して満足したけど、あのままだったらわりと文句たらたらだったと思う。
できるだけ信頼のお店で買われることをお勧めします。
それからフィルムライクの肝、ハイライトについて。
M型デジライカだと特にハイライトの粘りが足りず漂白剤のように白い点が浮いてきます。
もちろんフィルムで撮ってもそういうことはある、だけどフィルムの場合はまあいい感じに馴染んでくれるんですよね。
もちろんデジの場合も現像で上手く馴染ませたい。
画像のようにトーンカーブの対局線の中央と3/4の部分にポイントを作って、最高点を下に下げるべし。
これによって飛んでしまったハイライトだけの明度を下げることができて上手く馴染ませれます。
大事なことだからサボらずちゃんとやるように。
さて、新年あけたところで今年最初のイチオシ商品はこちら!
レビューの中で息子が手にしていた写真集、ソフィア・コッポラ アーカイブです。
僕の中で2023買って良かったもの文句なしの1位です。
フィルム写真が好きな方は是非!
写真集って自分用だけじゃなくてプレゼントとして贈るとセンスいいぞ。
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