フィルム道
ついにきましたフィルムカメラ。
以前一度、フィルムとデジタル比較のコラムも書いたけど、今となっては恥ずかしい内容だったので、この記事を書く前に潔く削除。
いくつになっても昔やらかしたあんなことを思い出すとベッドに倒れてでバタバタしたくなる。
消せる過去なら消してしまえ。
今回フィルムカメラに手を出した経緯は色々あるけど、「まあデジタルでは大体やり尽くした」に尽きる。
フィルムライクを求めて組み合わせるカメラとレンズがもう思い浮かばない。
そういうわけでここでもう一度改めて、最高のフィルム写真を撮るということに向き合おうと思う。
(あ、ちなみにまだブログにはあげてないなかなかいいレンズはまだある)
そもそもフィルムライクの研究の真の目的はフィルムから感じる光の輝きの追求に他ならない。
フェルメールやレンブラントらの洋画にも見られる光の輝きに人は惹きつけられる、キャンバスに乗った顔料なのにキラリとした光を感じる、それはフィルム写真でも同じだ。
いいすか、人を感動させる写真を撮るとかといったぼんやりした曖昧な目標じゃないからね。具体例を言うとスペインのフィルムラボ、CARMENCITAのような、鮮やかでシック、どこかノスタルジックでまさに命の輝きを感じさせるフィルム写真の輝きを自分のものにしていく。
先に言っておくと国内ラボの仕上がりにはやや不満…
皆さんも経験あると思う、フィルムとは思えない単調なトーンや彩度とコントラストの低いぼやけた画像だとか階調なくのっぺりと白い顔面だとか。青緑っぽいのは日本人の好みに合わせてるのかな?あとシンプルに色味が浅い気がする、もっと濃厚なトーンが欲しい。
とりあえず、撮ったらCARMENCITAに送ろうと思いながらあれこれネットで見ていたら、こんな動画が。
海外のフィルムオタクが自腹で業務用スキャナーを買ってスキャンしてるんですが、、
特に2:50あたりからの現象の操作の部分を見てほしい。明るさ、色、1枚ずついい感じになるように仕上げてるんですよね。
つまり、現像の仕上がりはラボマンのセンスとスキルと情熱に大きく依存してしまう。
スキャナーに入れたら自動でガーっとできるんじゃなかったのね。
国内でも海外でも使ってるスキャナーは同じであとはラボマンのセンスというなら負けるわけにはいかない。
海外ラボに送るのはやめた。自力で海外ラボの現像を手に入れてこそのフィルム道。
それにしても業務用スキャナ、すごいな。赤青緑の光をそれぞれ投射してスキャンしてる!!
そして自力スキャン、うっすらと頭にはやりたいことがありました。
そう、GFXでデュープ。
もう本気の撮影は基本GFX。それは解像度以上に、出てくる陽の光と肌のトーンがフルサイズ機とはちょっと違ってて、なんかいいんですよね。
ハイライトの粘りに至ってはフルサイズセンサーに比べても2〜3段くらいの能力差を感じる。
そこは絶対にデュープに活きてくる。
ネガ変換はご存知、LightroomのプラグインNegative Lab Proを使用。
ネットであれこれネガ変換を見て試したけど、はっきり言ってこれが一番いい。素晴らしい仕上がり。
大まかなやり方はこちらの動画を見てね。
コンバートボタン押すと現像が上がるのが超楽しい。
ガチャみたいと言うか、デジタルと違ってどんななるだろ??というワクワクがここで爆発してきてクセになる。
なんならデジタルって味気ねえな、人の心がないとすら思う。
(まあ一発でビシッと決まることは少ないんだけど)
ここからNEGATIVE LAB PRO(以下NLP)での作業の大事なポイント。
紹介した動画と違うというか個人的にオススメしたい設定です。
まずカメラ側の設定は動画ではWBは5600Kとなってましたが、動画の通り取り込んだあとフィルムの端をスポイトでWBをとるとカメラの色温度はほとんど影響なかった。
ただスポイト作業をやらないと上手くいかない。スポイトをちゃんとやると色が立つし、パッと最初の印象がいい。
それからレンズの絞りはF8とされてたけど、これは開放からせいぜい1段絞りまでにすることをすすめたい。それ以上絞ると画面がチリチリしてくる。特にフルサイズの高画素機だと顕著。なんならセンサーのゴミも拾う。僕はフォーカス追い込んで開放でいってます。フィルムの柔らかさを損なうようなことは極力避けたい。
そして取り込む設定ではオススメ通りとりあえず「frontier」を選択。
取り込んだあとは、上から順番に3項目を選んで好みの感じになるように調整。同じくFrontierがいいかな。
いじるパラメーターは、基本露出はBrighnessだけ。Exposureは動かしすぎると破綻する。
WBもhigh、mid、shadowそれぞれしっかり作っていく。PORTRAらしいスキントーン、黄色ともピンクともオレンジとも言えるようなトーンを目指す。いじらずに一発でOKなんてことはほぼない。ここをノータッチだと単調な感じになる。
楽ではないがNLPだけでいい感じにできると思う。
さらに細かく追い込みたい場合は右クリックして書き出しを選ぶと書き出し項目にNEGATIVE LAB PROのメニューが増えているはず。JPEGかTIFFに。TIFFを勧めたい。TIFFならRAWほどではないけどシャドーやハイライトを弄っても結構無理が効く。
書き出したTIFFはRAWの隣にすぐさま現れる!エライ!
なので細かい作業をしたり無理をさせたい場合は書き出してからが本番。
ちなみにあまりシャドーは持ち上げない方がいいかも。フィルムらしさという点ではシャドーをしっかり効かせた方がフィルムらしい。逆に中間からハイライトは繊細なグラデーションを引き出したい。
彩度の調整もJPEGやTIFFにしてからの方が自然でいいと思う。お好みでフェードも。
あとはノイズも除去したり。海外のフィルムラボの作例だとフィルムの粒子を感じない。そういうわけで余分な粒子は抑える。RAWのままだとノイズ除去は機能しないので注意。
個人的にノイズ除去はかなりアリ。積極的に使いたい。こんなに弄ったらフィルム本来の自然な感じがなくなる!とか思わないように。冒頭の動画にあったようにフィルムの現像は完全にラボメンのスキルとセンスに依存する。正解などない。
やれるだけやり切る。
というわけでまず1枚。
うん、自力でちゃんと海外フィルムラボ調に仕上げれる。
シックでノスタルジックで大人っぽい濃厚なトーン。20年以上前の雑誌のトーンというか。
ただ、特に国内ラボの仕上がりに大きく不満を感じた、薄暗い彩度のないぼやけた画像については露出アンダーで撮られたものだと分かった。
当たり前だけど日陰や逆光で撮ったものは肉眼で見れば薄暗く彩度がない。それを持ち上げても色は出てこない、デジタルと大きく違う点だ。
ラボも頑張って持ち上げてくれてたわけで、自力デュープでもダメなものもあった。あとシャドー部を持ち上げると粒子がとても汚い。
つまり自分のせいです。猛省したい。
舐めたこと言って申し訳ありませんでした。謹んでお詫び申し上げます。
でもラボのスキャン画像は後からいじりづらい、デュープの方が自由度も画質も上だ。
そのためにも可能な限り単体露出計を使って撮りたい。露出計なしならとりあえず暗い方に露出を合わせてオーバー目で撮るようにしたら下手くそな写真はなくなった。とにかく顔だろうが木だろうが建物だろうが日差しの当たっている箇所にTTL測光はしないように。とはいえ、やっぱり窓際とかハイライトに引っ張られて被写体が黒く潰れてしまう、可能なら単体露出計を強く推す。
さ、ここからは第一弾の作例をガーっといきます。
ここからPORTRA、やっぱりフィルムの持つ輝きが出てくるように思う。なぜか目が惹きつけられる。
これは完璧な露出不足、無理やり上げたせいで粒子の汚さが出まくり。
露出が合っているとISO400でも粒子の汚さは出てこない。青が美しい。
なんでもない写真が一気に作品ぽくなる!
Portra160は肌のトーンがちょっと乗ってこない印象。青いのかな。
作例はいいものをあげたけど、満を持して撮ったCONTAX645の撮れ高が低くてショックが大きい。
大きな理由があって、まず露出が合ってない…
基本アンダーになりがち、中央周辺に強いハイライトが入っていると簡単に引っ張られる。チクショウ…
それからAFはものすごく怪しい…2枚に1枚外す。引きで撮るともう大体ダメだった。
さらに悪かったのは開放で撮ったこと。とにかくフィルムは甘い。そこに最高にボケるレンズを開放で撮ったりすると甘い x 甘いで全くキリッとせず、写真によってはピンが合ってるのか合ってないのか分からない下手くそな写真に見えてしまう……うっ!!
そしてこれはずっと思っていたことなんだけど、体感的に見てフィルムで撮るとボケ量は2段以上ボケる。1段では済まされない。ボケるというよりとにかく甘いんだろう。今まで中判レンズを買ってGFXにつけて(なんかフィルムの作例の方がボケてるように感じる…6×7や645のフルサイズだからなのか??)って長年疑問に感じていたことがハッキリした。
境界がプワーっと馴染んでいく感じがある、そのせいでフィルムの方が俄然ボケて見える。
フィルムで開放は危険だ。
残りの人生、肝に銘じて生きていきたい。
はー、スッキリ。
あと、途中から気づいた。
フィルム写真は等倍に拡大して見てはダメだ。写真集を見るように、モニターに写った画像をそのまま見てそれだけを楽しむものなんだな。細かいことは気にせず、拡大は断じてしてはならない。
フィルムの作例、ちょっとボヤけてるなあと思っていたものはWEB用で画素が低かったわけでもなく元々こんなもんだったんだなと改めて実感。
NIkon F6で撮ったものも同じで、愛用の58/1.4Gを開放で撮ったものはやっぱり冴えなかった…
その代わり露出はまあまあ合ってた。さすがニコン様じゃあ!
一見合ってんだけど、開放で撮るとどれもこれもピリッとしない。。
赤の出方もいい。
CONTAX645との比較でみてもぱっと見は全く遜色ない写りだと思う。Portra160の精細さが効いてる。
F6とCONTAX645はネガのコマの間に撮影時の設定が記される。結構ありがたい。
もちろんハイライトやシャドーにグレーディング入れてるんだけどデジタルで屋内で撮ってこのトーンをポッとは出せなかった。なんでもない写真にアートとしての命が吹き込まれていく。
F6は1段絞るとピンも合ってかなりキリッとしてくるものの、ときどき合いきらないもどかしさが残る。
あと、重さとサイズがZ8と大差ない…
カフェなんかで取り出して人目を気にしたくないし、でかいシャッター音出したくない…
なによりフィルム機はオシャレにサラッと使いたい。
F6は最後の手段にする。
F6に反してCONTAX645は1段絞ってもAFは微妙だ。CONTAX645ユーザーのフォロワーさんに確認したところMFで撮っているという明快な返事をもらった。
高いフィルム代を払ってピントを外されるととても哀しい。
これはポジフィルムのE100、かつて20年前愛用していたフィルムはE200だった。
E100、ホントはもっと青っぽいフィルムだけどE200をイメージしたトーンにして現像。
やっぱり素晴らしい。粒子はシャドーでも美しく精細。常用したいけどあまりに高杉。1本で封印。
しかしそのすばらしさをぶっ殺すAFの外しっぷり。なんでかE100で撮ったものは外しに外した…
35mmで撮ったものはまあまあピンがきてた。レンズが甘くないからきてる気がするのか?
わからない…
さて、両機で撮ったもの、いいものもあったけどなんか思ってたのと違う。
単に未熟だったせいもあるけど、大口径レンズのボケが行きすぎてとにかく絵としてイマイチ。
もっと巨匠写真家がオフの時にライカでサラッと撮ったようなラフな感じが欲しい。
645は35mmとあんまり大差ないかも?
だんだん分かってきたぞ。
※ここまでの撮影はカメラ内AEを使って露出補正も全くせずノーマルで撮った。
正直言って露出不足もあってラボからの上がり(スキャンデータ)でグッと感じるものは殆どなく(う、、こんなもんかあ…)という出来だった。
自家デュープで殆ど持ち直ささせた。
今回の撮影、最初は知り合いの方たちにお願いしてカメラをお借りしました。
CONTAX645とNikon F6。どちらも名機でありプロダクトとして素晴らしい。
CONTAX645は奇跡の新品同様品で、手袋なしには触れなかったし、F6のずっしりした質感はもはや神々しく人類の遺産としての凄みすら感じた。
ちなみに両機ともAFだけど今時のデジ機のような合致したらカーソルの色が変わるわけでもないのでイマイチ手応えのないAFで(ほんとに合ってんのかなあ…)と首をかしげながら終始撮影に臨むことになる。
CONTAX645を貸してくれたのはカメラ談義をしながら、「まじすか、それめっちゃ良さそう」とその場ですすめた機材をガンガンポチる京都の豪傑ススム氏。(上垣内 晋 @susumukamigaito)
豪傑なのに心配性なのか愛用のPlanar80/2を3本所有しているお茶目な人。
そしてF6を貸してくれたのはいつも僕が(あれ使ってみてえな…)とポストしたら「よかったら貸しましょうか?」と声をかけてくれる名古屋のあしながおじさん、通称早川のおじさま。(XユーザーのToshihiro Hayakawa @p_haya_p さん)
別にレアなカメラやレンズを収集してるわけではなくフィルム現役時代に買っていたものを大事に持ってただけといういつも目の付け所が素晴らしいお方です。
お二人とも、僕の現像テクニック教えるんでフィルムカメラ貸してください!と頼み込んだら「マジかよ、いいよ!」と快く貸してくれました。
本当に芸は身を助けるんだなって感動しちゃった。
多謝。
さて、なんとここからが本番。
お借りしてフィルムカメラをたっぷりと堪能して日中屋外、屋内でも自然光がよく入るところがベターなのがわかった。CARMENCITAの作例でもそのシチュエーション以外の優秀作はほとんどない。
フィルムとはそういうものなんだな。
屋内や暗いところはデジタルに任せる。それくらい割り切ってフィルムカメラを使うべき。
確かに中判の方が上質になる、でも上質になるとデジタルに近づくようにも感じた。とくにPENTAX 67で撮ったものはGFXとPENTAX 67レンズで撮ったものと仕上がりが結構似ていた。
じゃあそこはGFXでいいよな。
ということで中判では撮れないラフでアーティスティックな写真を撮るべく35mmフィルムで行こう。
2024年はそう心に誓いました。
心に誓ってからすぐ行動に移すのが僕のいいところ。まずゲットしたのはこちら。
Konica HEXAR RFです。
旅に似合うこのルックス。
学生時代憧れの機種だったんですよね。たまたまカメラ談義をしてた友人が持っていて触らせてもらったら質感も良く、かっちょいい。
新品同様品があって一目惚れしてポチ。
シャッター速度1/4000は重宝するかと思いきや使う機会は皆無。1/1000あれば十分だったけど自動巻き上げはかなり嬉しい。
そしてレンズは周エルカン。Light Lens Labの50mm/f2、ライカの名レンズ、エルカンのレプリカ。
フィルムでラフに撮られた写真に憧れて始めたフィルム写真、元々M6とズミクロンを愛用している海外のフィルム写真家さんのことが大好きで、余計なことをせずしっかりと先人の真似をする。
ちなみにズミクロンを買わなかったのは、今まで2度購入して(なんか冴えないな…)と2度とも手放すということがあってさすがに今更また買うわけにはいかなかった。すでにフィルム撮影に突っ込んだ研究費もバカにならない額になっている。
そういうわけでズミクロンっぽそうで(正確にはエルノスター型とのことで別物らしい)、たまたま安くなってたのでありがたくポチらせてもらいました。周八枚もお気に入りで本レンズもデジ機でも使ってみたかったし。
続いて単体露出計もゲット。
カメラAEでも日陰側に合わせたら大体いいというのがわかったけど、微妙な仕上がりになった時の理由探しがめんどくさい。
単体露出計でも影側を拾うのがマスト。フィルムのシャドーの粒子は汚い。アンダーは絶対に避けたい。
厳密にせずとも外ぶらぶらしてるなら、日陰側で一発露出とっておけばそれで通しで撮っていい。それでハイライトが飛んでしまって最悪、なんてことは経験上なかった。今までカメラ内AEでシャドーに合わせてAEロックするより楽だ。
カメラAEなら被写体正面で測光して基本露出補正で+2というのもギリありだと思う。単体露出計(シャドー部計測)と比べても+2補正が近い数値を出す。
ネガの仕組みをざっくり言うと、ネガはラチチュードが7〜8段分、印画紙のラチチュードが5段と言われてて、ネガの8段分の中から5段分を抜くと言うよりは記録した8段分をギュッと5段に圧縮するイメージ。
動画のLOGと同じ感じ?
さらにネガはハイライトが強く、8段中シャドー3段とハイライト5段くらいだとか。なので2段オーバーで撮っていれば大体よし。ハイライトが飛ぶことは稀だ。逆にアンダーは大ダメージを受ける。
もうひとつ、先に紹介した動画のデュープシステム VALOI easy35(ブラシ付き)もポチ。
超快適。激推し。
そうそう、中判にしなかった理由の半分はこれ。
とにかくこのeasy35が最高で、埃取りはおまけ程度だけどフィルムとレンズの距離も完全に固定されるし、なにより安定して強くムラのない光源がついてくる。これ以外のデュープをする気が完全に失せた。
もう35mmフィルムしか使いたくない。2月にして2024買って良かったベスト決定。
大体36枚撮りのフィルムで10分もかからない、恐ろしいスピードでスキャンが終わる。笑えるレベルだけど、見てこれ
中型犬サイズ。
レンズをバケペン135/f4にしたせいもあって接写リングを盛大に取り付ける羽目になった。通常のマクロレンズであればこんなになることはないはず。
このSMC PENTAX67 macro 135/4は 普通に使うととてもいい感じのアナログ感が出る激推しレンズでその性能がデュープでも活きたらいいなって。多分活きてるはず。
というわけで、いざ作例。
開放で引きで撮ってもちゃんとピンがきてるう!!
そしてEKTARも陽の光の輝きを写せるフィルムだ。いい。
もうね、開放でちゃんとピンがきてるのがやたら嬉しい!
おお、、かなり狙い通りにいった気がする。。いいぞ周エルカン!
周エルカン、デジタルだと過去に撮ったズミクロンより甘く柔らかい。ズミクロンの方が間違いなくキリッとするはずだけど結果オーライ。好きだぜ。
そしてズミクロン同様発色は相当悪いレンズだと言える。ズミクロンより悪い。特にデジタルライカMのセンサーとは相性が悪すぎる。現像スキルが未熟だと手に余して手放す人も多いだろう。僕も未だにデジタルライカと周エルカンで納得のいく現像はできていない。
そんなレンズだけどなぜかフィルムとは相性がいい。デジタルだと顕著な周辺減光と解像不足が気にならない。理由は色々あるんだろうけどまあいいや。
ちなみにF2.8だと一気にボケ量が減ってわりと優等生な感じになってしまう。
それは他のレンズでもそう。ポートレートならF2を死守したい。
というか、どうすか周エルカン、中判と比べても全く遜色のない写りだと思う。F2なのに十分な奥行き感とEKTARの持つ高精細感も合わさってめちゃくちゃいい。雑誌や写真集を飾れるクオリティがある。
ちなみに今回各種フィルムを取り寄せて数本ずつ撮って撮り比べた。
やっぱりPOTORA400が一番いい、というか所謂ネガフィルムらしさが出る安心感。なんというか濃厚、色白の肌にもトーンが乗る。高いだけある。ただ、粒状感はそれなりなのでしっかりと露出を測ってアンダーにならないように。そうすれば35mmでも結構綺麗な絵になる。
PORTRA160は400に比べるとアッサリの印象があったけどアッサリというか青い?確かにPORTRAらしい濃厚さとキラッとしたものがある。粒子は相当小さく高画質感を感じさせる。でも400ほど肌や屋外の光が当たった壁などにトーンが乗らないせいで時々あれ?ってことになる。
ちょい安いし粒子の細かさはとても魅力的だけど、屋内自然光を安心して撮るためにもISO400欲しい。
GOLDは特に金色寄りの絵作りでもなかった。むしろアッサリ。コントラストもPOTORAに比べて低い。顔面が白っぽくのっぺりというのもGOLDだと出やすい。一言で言うと優しい。ISO200で使いやすそうと思いきやISO160のPORTRAに比べると粒子は結構荒い。微妙。
また巷で同等品と言われてるColorPlusはGOLDとは別物、粒子はさらに荒い。GOLD買った方がいい。
EKTAR100の粒子は本当に素晴らしく、評判通りポジに迫る。というか大袈裟じゃなく中判並みに見える。フィルムらしさも感じさせてくれる個性もある。無駄に彩度が高く、赤系のものが入ると一気に破綻して困る。でも陽の光にPOTORA同様命の輝きを感じさせる。肌にトーンもしっかり乗る。いいフィルムだと思う。。
がしかし、EKTAR100で撮ったものがやたら僕がデジタルを現像したものと似てて高いフィルム代を払って一体何をやってるんだろうと頭がクラクラしてくる。いや、自分のフィルムライクスキルを褒めてあげたい…
まあ、フィルムは余計なことしないでPORTRA400かな。
突然だけど、これはAPO-LANTHAR 50/2。GOLDはハイライトに青がやや乗る気がする。
実はコニカヘキサーと一緒に最初に用意したのがこのレンズ。なぜ今時の最高レンズなのか。
とにかく、フィルムは甘い。めちゃくちゃ甘いということが最初のトライでわかった。
そこにデジタルでお気に入りの大口径レンズを掛け合わせると激甘で全くキリッとせず、なんか思ったのと違った。これは大いに反省で、ここを修正してフィルム(甘)xレンズ(辛)で35mmフィルムの描写を一段二段アップさせようという試みだった。
実際今時レンズの画面端まで破綻のない画質と高解像が35mmフィルムの画質を底上げしてくれた。
最初のトライで使ったレンズはどれも開放では使えたもんじゃなかったけど、アポランは開放からしっかり解像する。
でもなあ、、シチュエーションによってはデジタル臭が出た。フィルムなのに結構出た。とにかく線が細い。デジ機で撮って現像で粒子だけ足したような写真になった気もする。フィルムでもボケのザワ味は必要なんだな。
というかf2.8で撮ったものは猛烈なデジタル臭がして二度と絞るまいと絞りリングにパーマセルを貼って固定したほど。
フィルムで撮ってるのに下手くそなフィルムライクに見えた時ほど悲しいことはない。
というわけで軽やかに下取りに出して周エルカンをポチ!
フッ、勉強になりました。
絶対に好みじゃないレンズなの分かってたのに、血迷ってしまった。ちくしょう…
いや、でもデジタルならフリンジが全く出ないいいレンズだと思います、はい。
ちょっと外した感じのものはいい感じに撮れたし。はい。
ちゃんとピンを外すと見ての通り柔らかい描写になるから安心して欲しい。
映画のパンフレットのようなノワールな感じ、こうゆうのがポンと出てくるとフィルムやっぱいいなと唸ってしまう。
レンジファインダーはお店の中でパチっと構えてもスタッフさんがギョッとしないでいい。
写真は精細に写んななくてもよくて、パッキパキに写るくらいならフィルム第一弾の仕上がりの方がいいとすら感じる。ヤバい。
(でもピンは合ってて欲しい)
ヘキサーのファインダーは視野率が0.6倍とかなり低く気分は全然アガらない、ふとした角度?でいきなり二重画像が見づらくなって困ることもあるけど、ほとんどフォーカス合ってる。というか等倍で見ないから大体合ってればいい。正直、AFのF6よりなぜか打率は高い。
F6と迷ったけどヘキサー買ってよかった。
あ、でもニコンへの愛が収まらずF3ポチりましたw
ライカと同じくらいかっこいカメラはF3しかない。近接撮れるのも嬉しい。
F3持ってぶらぶらしてるとたまに人から話しかけられる。いいですよね。こんなのニコンしかない。
スプリット式の上下画像一致ピント合わせはやりやすいしやっぱちゃんとボケた画面が見えるのはアガる。
がしかし、なぜかこのスプリット式でしっかり合わせて撮ったつもりなのに合ってないことが結構ある。なぜだ…こちらもヘキサーの方が打率高い。
あとF3はシャッター音が甲高く大きい。結構恥ずかしい…
あ、息子チャームポイントのホクロを除去しました。寂しい。
F2で撮ってもドーンとボケる。これがフィルムの力。
なんかいいなと思って撮った時のなんかいいがちゃんと写る。これはGFXじゃないと無理。
周エルカンと違って近接撮れるのは嬉しい。
顔に合わせたつもりだったんだけどなあ…
レンズはAi-s 50/1.4S、絞りはやっぱり開放は厳しい。甘すぎてピンがきてない印象を与える。F2が安心。でもF2でもなんか外す…
検証と修正を加えて慣れてくると最初は36枚中いいものが数枚だけだったのが全部とは言わないものの半分くらいまあまあいい感じに撮れるようになってきた。
意識するようになったのは、
- カメラAEをやめて単体露出計を使う(絶対にアンダーにならないように常にシャドー側)
- 薄暗くなってるような完全日陰は避ける(コントラスト、彩度不足)
- 地下鉄の中などをいい感じに撮りたいなら単体露出計で測ったものからさらに+1〜2補正
- 夜の室内や陽の入らないような飲食店などは割り切ってデジタルに任せる
- できるだけ直射日光も混ぜる(彩りと輝きを加える)
- 室内の窓際、自然光が最高
- 室内自然光でも奥まった場所だとコントラストと彩度が足りない、避けるべし
- キツい逆光も撮らない(被写体に合わせると流石に背景が飛ぶ、フリンジも出る←フィルムでも出るぞ!)
- サイド光よりやや全光寄り(ここはデジタルと違う点、この方がフィルムの輝きが増す)
- フィルムの解像度不足感を感じさせるのであまり引いて撮らない
- ケチらずPORTRA400使う
- 単体露出計の玉の部分がずれて入射式になってないか確認する(痛恨のミス!!)
- ちゃんとメガネかける。ピントは正確に。
こんなところか。
今回こうやってフィルムにがっつり取り組んでみて、確かにフィルムの魔法はよくわかった。
悔しいけど、今までのどのレビューよりも強くて鮮やかな記事になったと思う。
フルサイズデジタルで到達できない世界があったことも認める。ちくしょう。
何と言ってもボケ量というかフィルムの生む柔らかさからくる奥行き。画質はともかく35mmフィルムですら僕がGFXとバケペンレンズで撮る絵を叩き出してくる…!
ただそれはラボ任せでは到達できないことも多く、フィルム愛好家ならなおのこと自家デュープに取り組んで欲しい。
ラボのスキャン代も浮かせれるし、現像だけならキタムラなら1時間で上げてくれるしね!
ちなみにキタムラだとPORTORAの現像は外注になると言われるんだけど、クレームは絶対に言わないから!と言ってそのまま現像してもらってますw
いまのところ特に問題ないけど、一応自己責任で。
ところでキタムラで待ってる間カフェで飲むコーヒー代やらドーナツ代やらのこと考えちゃうよね。
全然安く済ませれてない。
ただこれだけは言わせて欲しい、フィルムは長い目で見なければ安い!
人生と同じ、明日のことだけ考える。
それ以上考えてもこんな時代に希望などない。
でも明日のことだけ考えてたら人生って結構楽しいからね。
フィルムの現像を待つ間、ミスドでSwitchやったりする時間が一番幸せ。
というわけで残りの写真もガーーっと。
GWはまた実家の高松に帰ってきました。
いい加減やることもなく尾道にぶらり。
これだけ引いてもちゃんとピンがきてる。
こういうシチュエーションでデジタルだと肌のハイライトにこの柔らかさが出ないと思う。
そしてここから郷土の誇る栗林公園。
ここはね、本当にスポットだらけでもし東京にあったらものすごい混雑になると思う。
開放で撮るとフィルムでもハイライトがほわっとする。やっぱり屋外で晴天下は開放を控えるべき。
命の輝きが撮れたと思う。
デジタルと違ってフィルムだと自分の想像を超えたものが生まれることがある。
悔しいけど、これこそがきっとフィルムの魅力というか魔法で世界中のアーティストを夢中にさせるんだろう。
もしかしたらピンボケに愛が宿るのかもしれない。
周エルカンの方が奥行きを感じる気がする。本当にいいレンズ。
※ フィルム現役世代なのにフィルム撮影につまづいた大きな理由は僕がフィルムを使っていた頃、写真好きの美大生やプロ写真家を目指してる人は基本ポジフィルムを使ってたのね。
ネガを使うのは授業で手焼き用か、どうしてもネガが好きっていう変わった人か、スケベな写真を撮っててラボに出せないような人以外はネガを使ってなかったと思う。当然だけど広告や出版業界もほぼ100%ポジだった。
ポジの撮影は露出ジャストを狙うわけでオーバー目に撮らないとダメなんて全然知らんかったし!
まさかネガブームが来るとは予想もしなかったし、Portraにこんな魅力があったことも全然知らなかった。
ポジの持つ魅力はいまだに忘れられない。
若いフィルム愛好家には本当に使って欲しかったな。フィルムの持つ個性がそれぞれ際立っていて写真が面白かった。あれこれ現像で弄らなくてもいい感じに映画のようなシーンにしてくれた。
ちなみに映画はネガだけど。
ソール・ライターが愛用したのはオートクローム、それによく似たコダクロームも愛用してた。ラボに通っているとスタッフに顔を覚えてもらえてたまに期限切れ間近のコダクロームを安く売ってれて、それを期待して通ったりみたいな楽しい時代でした。
ちなみに当時もフォーカスは外しまくっていた。
でも伸ばしても小さな画面で全然気になってなかったw
古き良き時代。
最後におまけ。
フィルムをこうやって徹底的にいじり倒しているとフィルムライク現像のスキルがさらにあがる。
(あ、この色味、あのプリセットからあれしたら上手くできそう…)とかアイデアがどんどん湧いてくる。
というわけでデジで撮った作例も少し見てもらいながらお別れです。
さっき、35mmフィルムでGFXとバケペンレンズで撮った絵を叩き出すと言ったけど、逆に言うとGFXとバケペンレンズがあればフィルムライクは相当なところまで迫れる。
バケペンレンズは本当にフリンジが出ない、窓の境界や被写体のシルエット部分に緑や赤の縁が出るだけで興醒めしてしまう、フィルムでもフリンジは出るんだけど、本当にガッカリするけんね。
そして柔らかさが最も出る90/2.8がベスト!フィルムライクが好きな人はぜひ手に入れて欲しい。
ちなみにデジタルMライカと周エルカンの相性が良くないと言ったけど、Nikon Z5ならあり。
Z8やZ9でもなくZ5だ。巷では表面照射型センサーと言われていて、そのせいかは知らないけどとにかくフリンジが出づらく色が濃厚な印象。
AF化アダプターをつけてかなり楽しい撮影を体験できる。正直かなり好きだ。
この周エルカン、相当甘い。ただしヘリアークラシックのようにホワンとはしない。周八枚同様に最後のピント部分が脱力した絶妙なアナログ感を叩き出してくれる。ただ画面周辺部の解像不足と流れは結構気になる。。ずれたような画質劣化はかなり嫌。これさえなきゃなあ。。周辺部というより中央部以外全部って感じ…あとフリンジも出る。。なんでフィルムだとこれらの欠点が消えるんだろう。まじ謎。
とはいえ、ヘリアークラシックと甲乙受け難い素晴らしいアナログ感。デジタルでも気に入った!
AF化アダプターのややいい加減なAFもよき。
見ての通り、デジタルでも結構いい感じに撮れる。でもやっぱり違うよね。
今回、フィルムライク研究家として本気でフィルムに向き合っていじり倒して思った。
デジタルの方がまだまだ単調だ。フルサイズだとさらに単調。フィルムは尊い。いやーまじすごかったわフィルム。
正直、途中ではGFXでいいや、フィルム高いし、めんどいって思ってたけど、今回ブログでまとめて最初から通しで見てたら全然違った。スゲーわ、フィルム。
GFX使ってやっとこれだもん。
それにGFX一式を揃えるのは本当にお金がかかる、誰にでも勧められるものではない。
確かにフィルムと現像代で月一万使うとすれば数年でGFXも買えてしまう。
でもまあ人生をそんなに打算で生きなくてもいい。
何と言ってもいまだにかっこいいフィルム機を越えるようなかっこいいデジ機はないのだから。
カメラは恋人、最高に愛せる恋人を連れて旅するべき。あと露出計もね!
さて、最後のお賽銭の時間です。
巷に溢れる、フィルム写真のブログを圧倒的に凌駕する記事になったと自負しています。
役にたった!と思った人はこの先一生このアフィリエイト経由でフィルム買うように。
さらに値上がりしているPortra 400。こんなものをポチる自分に狂気すら感じる。
がしかしこいつでないと撮れない世界がある。みんなで狂おう。
こちらの記事もぜひ。