Nikkor 50mmの系譜
さて前回の記事から半年、まあこんなもんでしょう。
半年ぶりのブログ、ニコンの50mmについて熱く語りたい。
系譜としてAFになってからのNikkor 50mm、つまり50/1.4D、50/1.4G、そしてZ50/1.4まで。どうしたってニコン愛なので。
いつかニコン新社屋にニコンに貢献した100名みたいなかんじで表彰されに招待されたい。
実は今回の3本、めちゃ使ってた。
めちゃ使ってたのに他のレンズのレビューとかやってて、ずっと心苦しい思いをしていた。どうせ伸びないだろうしなというスケベ心があったのは確かだけど心のどこかでこの3本はあんまり人に教えたくないなーとか思ってたのかもしれない。
それくらいいいレンズだ。
そろそろネタもなくなってきたし、ここらで胸のつっかえをとっぱらって晴々とした気持ちで2025年を迎えたい。
まずはNikkor 50/1.4D。
僕がSNSで散々このレンズをいいと言っても実際に買って使う人はわずかだ。なぜならレフ機が必要だから。いまさらレフ機買うのものなと言うのもよくわかる。でもその壁を乗り越えたものだけがこのレンズの凄みに触れることができる。
ちなみに僕の仕事でのメインはもう何と言ってもGFXとPlanar80/2だ。まあ、結局中判の力に頼ってるわけで、フルサイズとは表現力に差があるんですよ、やっぱり。
ただ、個人的には純正GFレンズ使ったらあんまりわかんないんじゃない?とも思ってて、要はCONTAX645だったりバケペンレンズの力を引き出せるのがGFXなだけだと思ってるんで、無理してハイスペックのGFXを買ったりしないように。
で、そのポストPlanar80/2になるのがNikkor 50/1.4Dになるわけです。
確かにNikkor58/1.4Gも素晴らしい、実際かつてのエースだったし今でも信頼の一本だ。でもPlanarにどっちが近いと言ったら50/1.4Dになる。
というわけで作例!
伝わってほしい、ボケ部分が霧吹きでプワ〜〜っと霧状になっているというか、まさに写真芸術の真髄を見てると言って過言ではない。
レフ機のやや適当なAFと相まってアーティスティックな描写を叩き出す。
このレンズのボケというか空気の淀みを写す感じは本当に他のレンズにはなく、数値以上のボケ量を感じさせる。
ただし、屋外で開放で撮ると大怪我をする。
この写真はレタッチでフリンジを消しているが実際はパープルフリンジでとっ散らかった酷いものだ。
それでもハイライトの滲みとコントラストの甘さから生まれる描写にアナログ感を感じずにはいられない。
現代になるほどコントラストが高くなってしまったのは写真芸術においては大きな損失だと思う。フィルムなら大歓迎の晴天時の屋外の撮影がデジタルだともうどうにも良くないことになってるのは大問題だと思う。
というわけで屋外では1段絞るべし。
絞っても柔らかさがのこる。線の太さも感じさせる。見事な写りじゃあ。
線が太い描写っていうと伝わるかわかんないですが、音楽でもレコードとデジタルの違いというか、そういうアナログ感をこのレンズは感じさせてくれる。ふわふわした幻想的とかではないどっしりとしたオールド感がある。
十分50/1.4Dの魅力が伝わったと思う。
なぜかGFXと中判レンズで撮ったようなダイナミズムというかいい写真って大きく見えるんですよね、わかるかなあ。そういう力を感じさせる不思議なレンズ。
完全に唯一無二の描写であり、最もフィルムライクに近い描写だと思う。そして意図してこの描写を作っているニコンは写真芸術が何なのかを理解し、ただ解像度を高めて収差をなくしていくだけの開発をしている他社とは一線を画している。一同、ニコンに敬礼!!
さて、このDレンズの記事を書くにあたって、ついでにDボディについても熱く語らないといけない。
この年末、やっぱり俺にはDレンズや!とひとりで燃え上がり最高のボディを手に入れるべく、欲しかった機種を借りまくって検討したことについてまとめたので見てやってほしい。
中でも特筆すべきは、D6のシャッター音バカでか問題だ。Dfのシボッというセクシーな音に反して、パカーン!というかカーン!が耳にのこるシャッター音。きょうびこんなカメラを飲食店で使うことは不可能だ。ぶっちゃけブライダルとかでもいまこんなシャッター音を鳴らしてもいいんだろうか?かつては常識だったと思うと結構怖い。
ただし、D6のAFはマジですごい。何がすごいって光学ファインダーで瞳AFが効くからね。AFポイントがファインダー内で動いて目の辺りを表示して追い続けてくれる、無敵じゃん!と思って完全にD6買うって息巻いたものの、その後しばらく使ううちにこのシャッター音はきついなと涙を飲んで返却。
そしてあくまで個人的な感想なので表には書かなかったけど、RAWの違いがあって、
Df、まあ普通。もうちょっと解像度欲しい
D750、フリンジ出やすい、色濃厚
D850、フリンジ出やすい、色があっさり
D5、フリンジが一番出やすい、色濃厚
D6、他機種と明らかに違う、赤みが出る。フリンジ出づらい
D780、なんかやたらフリンジ出づらい!色ややあっさり
と、各機種わりと違いが出た。フリンジについては本当にあくまで僕の感想なのであんまり正確に受け取らないように。一切責任は取りません。
というわけで、とにかくわりと無難にD780に落ち着いた。本当は縦グリ機が欲しかったけどデメリットを無視できなかった。実際D780は良機だと思う。買って文句を言う人もいない本当にいいカメラなので買うならD780にしとけ。シャッター音の静かさは特筆ものでわりとカフェとかでも気にされないと思う。素晴らしい。
話戻して、この後登場した50mmが50/1.4Gになる。
ボディがデジタルになってからのモデルチェンジで大きくデジタライズされたのかというとほとんどなく、それどころがフリンジが出やすくなった。
されどこのレンズ、アダプターを使うとZ機で使えるのでかなりお世話になった。
描写を簡単に説明すると、かなり50/1.4Dに似ている!!開放で使うと空気の淀を写す描写だったりゴワッとしたボケ味とか。なのでかなり使った。実際レンズ構成は全く同じらしい。
ただ、本当にニュアンスに近い差なんだけど、、
・Dより線が細く感じた。少し繊細な描写になった
・Dよりゴワッとした強力なボケ量
・Dよりコントラストがある
・そしてDよりフリンジが出る…!!(ただし使用機種による)
というちょっと憎めないレンズだ。
言ったように仕事のメイン、GFXとPlanar80/2のサブとして(歩いているところを撮るとか)そういう時にかなり使った。個人的にはNIkkor 58/1.4Gよりドキッとする写真が撮れるエモいレンズだと思っている。
冒頭の三枚は全て開放で撮っている。
シャープネスは皆無。素晴らしい。二枚目の茂みのボケがアーティスティックかと言われるとちょっとアレなのがこのレンズの弱点か。なんかモコモコちょこちょこしてんのよね。
でも柔らかい。いいですよね。
最新ミラーレスで中高年を撮って人を傷つけたことみなさんあると思います。というか若い子なんかは傷つけていることに気がついていないこともあると思う。
このレンズなら中高年が撮れる。自信を持って言えます。
とはいえ、開放はフリンジが出る。この頃は絞るという知性が全く身に付いてなかったので開放で撮ってるんだけど、絞ると絵は変わってくる。当然キリッとしてきてかなり端正な絵になる。
でも線に柔らかさが残って、仕事の現場でも大活躍してくれました。一時期はもうPlanar80mmいらんとまで思ってたほど。
Dと同様に中判感を感じさせる力強い描写。
素朴なふたりの強さがとてもよく伝わったいい写真で気に入ってます。
こういう大切な写真、バキバキの最新ミラーレスレンズよりちょっと古いレンズの方が撮れそうな気がするじゃんか。
僕が結構重視するのはこのボケのテイストだ。
背景のボケがただスムースにクリーミーに溶けただけではない、ボケが作る表現。
ただ、綺麗に撮れました。ではないその先の写真表現があるから特別な一枚になれるのだ。
フレアもミスト系のフィルターなしでちょうどいい感じで入ってくれる。
Dとよく似てるけど、Gの方がボケ量が大きいように思う。
この立体感と表現力がこのサイズと価格で手に入るのでニコンユーザーは迷わず買おう。
ただし!
このレンズ、フリンジには要注意だ。
上げた写真全て絞っている、大体f1.8〜f2だろうか。
こんな何でもない写真なのに、頭髪の部分にフリンジが出ている…なんでや?!
屋外だとf2まで絞ってもフリンジが出ることがある…絶句!
ただ、これはハッキリとは言えないんだけど機種の問題もあると思う。例えばZ8ではフリンジは普通に出るけどZ5だと出づらい。あと発色もいい。そんなわけないと思うかもだけど、そんなことはある。世間にはこのZ5の謎の魅力に取り憑かれている人がわりといる。まじで謎なんだけど。このレンズを使うならボディはZ5推しだ。
本当にかなりいいレンズでレフ機を買いたくはない!という人には普通に推せる。
実際、Gの方がいい写真じゃんと思った人も多いと思う。それは見ての通り仕事で結構使ったからいい写真が撮れる機会が多かっただけというか、、、
やっぱりDの方が好きだ。それはやっぱりコントラストのなさと線の太さの違いなんだろうなあ。
Gのボケの方がちょっとチョコチョコしてるというか、、Dの方がアーティスティックな写りになると思う。まじで。
そして最後にNikkor Z 50/1.4。
簡単に言うと、
・DやGよりコントラストが高い
・解像度はあるもののミスト系が必要なほどカリカリしていない
・もう空気の淀は写してくれない
・ゴワッとしたボケ感は残っている
・全体にボケ量が減った
・屋外開放が撮れる!!
という正統進化だ。Sラインとは違う、高解像・端正な描写ではない。背景のボケにザワつきが出る。
早速作例
背景の動きを見てもこれが今どきのミラーレスレンズとは一線を画すのがわかると思う。周辺減光もあえてそのままにしている。背景ボケもスムースとかでなく結構暴れてる。ゴワッとしたボケ感もある。
でもこの写真だけかもw
もうちょっと端正に撮れますw
開放なのにフレアゴーストが起きづらいという素の良さを感じさせる。僕は逆光でエモい写真を撮るのがかなり好きなので正直困る。そんなわけでむしろつけることで光学性能が落ちると評判のAmazon純正UVフィルターをつけている。ミスト系よりもあざとくなくてちょっと気に入ってるけどあまり真似しないように。写真の下のゴーストは多分フィルターとガラスの間で反射が起こってますw
アナログ感の感じるいい写真だと思う。普通に雑誌のページを飾れると思う。
でもなんかちょっとエモくない、エモくないというか、(え、開放で撮ってこれ?)っていう驚きというか度肝抜いてくる感じがないというか。
実際プライベートで使いたいかと言われると使わないだろーなー。
プライベートの写真にはよりプライベート感を出したいわけで、やっぱりDレンズ一択になる。このレンズは僕の中では完全に仕事向きでこのレンズを買ってからは現場で50/1.4Gの出番がなくなった。現場だと奇跡の一枚が撮れることよりも(うわ、、やっちゃった…)がなくなることの方が大事なわけで。ボケ過ぎよりホドホドの方がよかったりすることも多々あるわけで、、
我ながらスケールの小さいこと言っちゃってるけど、道具としてはかなり優秀で信頼していますw
実際、窓のサッシにフリンジの線が入らないのは相当嬉しいのよ…!
(ただしこれもZ5推し、Z8だとフリンジ出ることもあり)
それにSラインのレンズだとミスト系のフィルターがないと固くて個人的には耐えられない、そもそもミスト系のフィルターを使うことがあざとくてイヤ。
このレンズはミスト系のフィルターを使わずにかつ屋外開放が使える精度など描写とは別のスペック的なところで推しポイントがあってその点は大きな声で言っておきたい。
いや、なんかディスってるみたいだ。
違う。めちゃくちゃこのレンズウェディングの現場で使いました。あとプラベートで使わないのはプライベート用のレンズ他に持ってるからで、いい写真たくさん撮れたのでほんといいレンズですwありがとうニコン!!
ところで58mm使わないの?という意見もあるだろうけど、わずかだけどこの8mmが現場で結構効いてくる。50mmだと35mmなどの広角を使わずに一本で回せるのよね〜
それと58mmだと一気に作品感が出てきて、競合はまさにGFXとPlanarになってくる。そんなわけでサブだったりラフにさらっと撮るにはNikon 50mmのどれかということになってくる。58は別枠になります。
さて、賢明な読者はZ 50/1.8Sと比べてどうなんだという疑問も湧くと思うので答えておきたい。
仕事でZ50/1.4を使うと言いながら、企業向けの仕事ならZ50/1.8Sになる、ブライダルのような少しプライベート感があっていいならZ1.4かなあ。そんな使い分けになるけど、やっぱりZ1.8Sのことをここでも褒めておかざるを得ない。素晴らしいレンズだからな。
Z1.8Sはなんつうか50mm画角を越えた中望遠の写りなんだよね、だからボケに奥行きが生まれて、f1.8を越えたまさに中判ぽい雑誌や写真集ぽい描写になる。もちろん収差も徹底的に抑えられている。
かつ、他社のミラーレスレンズほどカリカリでもない上質さと高性能のバランスが素晴らしい。でも個人的にはミスト系のフィルターを使うことが前提でこの点が惜しい。。
1枚作例
説明しづらいんだけど、背景との分離、それから背景のボケのナチュラルさ、いい悪いではなくて上質だ。ところですんげえいい写真だな!
この上質さが時として嘘くさいというかフィクションに感じることがあるのよ。端正に写りすぎて家族や恋人の写真なのに血が通ってないというか。つまんなく感じるというか。
そんな時にZ1.4かなと思う。本当はアダプターつけて1.4Gとかの方が面白いよ〜と言いたいところだけど、アダプターつけて不細工なのがイヤだという気持ちも分からんでもない。そういう人にはZ1.4でいいと思う。少なくとも他社のミラーレスレンズでこの描写は手に入らない。あと、言ったように背景との分離、これが今回紹介したレンズほぼ全てにおいてない。Z1.8Sにはある。この有無が表現に効いてくる。
アナログ感というか手が届く身近にあった思い出的な。そういう気持ちが乗ってくる。
いいか、撮りたい気持ちに合わせてレンズを選ぶんだぞ。泣きながら撮ったって絵は変わんないからな。
あとは例えばアナログ感を出す動画用とかすごくいいと思う!ミスト系のフィルターを使わないでいいのはここでも効くと思う。
ともあれ、この時代にニコンの50mmのスピリットを残してさらにこの価格で開発してくれたニコンには最大限の賛辞を送りたい。
業界に対しても一石を投じたと思う。ニコンには心から敬意を表します。
さて、話変わりまして新年最初のアフィリエイトはこれです。
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相変わらず紹介したレンズに全く関係ないのですが、このナッツ、驚くほどうまい。
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