ついに完結! 50mm道。
Thypoch Simera-C 50mm / T1.5 & 35mm / T1.5
タイトル通りフルサイズ50mm道、完結です。
嘘でも煽りでもない。
前回、前々回とCONTAXレンズを絶賛して、なんならランキング一位を与えるなどしてむしろそれで完結させたかに見えたかと思われたかもしれない。
違う、三段落ちだ。
したがって、本レンズがフルサイズ枠において1位、なんなら2位のCONTAX645 Planar 80/2を越えて、全体2位を与えたい。
ただし、100点満点、パーフェクトとは言えない。その辺りも含めてこのレンズを語っていきたい。
あ、レンズはSimera-cと書いてある通り、シネマレンズを買った。
ライカ用と同じ設計とのことだが友人から見せてもらったものと写りが違うように思う。あくまで個人的な感想です。ライカ用の方が安いが自己責任でお願いします!!
カメラはNikon Z6IIIだったり、ZRにつけて撮ってます。
論より証拠、とにかく見て欲しい。

どうだ?

この背景ボケの大らかさよ!チマチマしていない、すばらしい。
50mmに関して、Thypochは玉ねぎボケの排除を念頭に開発したという。まあ国産メーカーのミラーレス世代50mmは大体そうかもしれないが、ライカ用レンズとしてはなかなかの心意気だ。
(でもまあ玉ねぎボケは出る。ただ気概は感じる。敬意を表したい)
いや本当にこの大らかさは中判レベルと言って差し支えない。しゅごい!
やっぱりオールドだといいレンズでも全体に渦巻き感が出てくる、それもない。見事。
僕の場合中判レンズでもフォーカルレデューサーアダプターを使うため渦巻き感がなんとなく写ってしまう。
それが全くないことの感動ったら!

そして伝わっていると思う、極上の柔らかさ。
全然カリカリしていない。まつ毛がクワッと解像されることで失われる情緒ってものがある。
インテリア内装写真ではなく映画のワンシーンになれる表現力。
本当に素晴らしいレンズなのに知って手にするまで1年かかってしまった。
国内のレビュー、そもそも数も少なく良さが伝わってこなかった(すみません…)どちらかというと名前からしてLeicaのASPHの対抗馬?中途半端なオールドっぽいレンズ?くらいでまさか中判ぽさなんてあるわけなかろう、いつもの中華レンズか〜とスルーしていた。
動画のレビューもYoutubeで流れてたけど、ほぼ35mmだったし動画っていうのはほんとにLUTやらプラグインでどうにでもなるんでYoutubeでレンズの評価としては難しい。
と言いつつ、僕が好きな海外の動画クリエイターが本レンズの35mmを使った動画を上げてくれた。見たところボケにめっちゃオールド感があるやん、なんこれ……??と震えが走ったものの、50mmの情報はほぼない。
(結局信頼する人がレビューしてくれるかどうかだよねw )
実はシネマレンズにはもともと興味があった、特に欧米においてシネマレンズではカリカリ感はBADとされていてみな柔らかさを評価対象にしている。それでいて収差がなく画面端まで端正に写るものが求められる。プライムと冠されるレンズなど非常に高性能で高価だ。
シネマレンズ、プライムじゃなくとも高価でデカすぎ〜〜、ボケがクリーミーすぎ〜、MFだしなあ〜〜、、と手をこまねいていた。
そんな業界に風穴をぶちあけたのがこのThypoch Simera-C レンズ群だ。実際動画界に衝撃があったと思う。レビューも非常に多い。写真業界には衝撃無かったけど。
手頃な価格(安くはない)とサイズ感本当に素晴らしい。
とはいえ、50mmの情報は少なくムラムラしていたところ、親友のカメラマン宮下直樹氏(もう本当にアラフィフ男子二人で仲良くつるんでいる。ファミレスで6時間お喋りするとか夜会って次の日また会うとか宮ちゃんが女性だったら付き合ってるレベルだ)が話の中でSimera-Cのことを口にしたので聞くとすごくいいわよぉ〜、なんならレビュー記事も上げてるけど見てくれてないのぉ?ちょっと他に好きな人できたのっ?!とネチネチと非難してきた。(みんな見てあげてね♡)
非難してくる宮ちゃんに軽くキスをして黙らせつつ、頭の中は何売って手に入れるかでいっぱいだったわけで。
そんな経緯がありながら手に入れた本レンズ、たっぷりと紹介したいと思う。
手に入れてすぐ家まで待ちきれずカフェでポチポチ。

背景の人物のボケの美しさよ。

クリーミー過ぎずゴワッとした感じも残っている。いいぞ!

最初に言っておくと、フリンジは出る。
シネマレンズだしもしかしてAPO並みにフリンジでないんじゃ?!という期待は裏切られた。
そもそもシネマレンズとは外観のみで元々はライカオマージュなのだ。
それでもオールドと見ればトップクラスにフリンジは出ない。Planar 50/1.4よりも出ない。
それにこのレンズ本当にオールド感を出しながら画面端まで比較的端正に写る設計(隅々まで完璧にとかじゃないからな、大体3:4トリミングするのでそこまで)なのが嬉し過ぎてこの程度のフリンジ笑って許せる。
前回のPlanar 50/1.4でも苦言したが中央以外の画質劣化は痛恨の極みだ。そういう描写になるだけでイメージ写真枠に入れられてしまう。やはりSNSじゃなく展示や写真集にふさわしい描写というものがあると思っている。おじさんなので。
実際、上田義彦氏が先生をしてくれるという写真塾に参加した時主に中判で撮ったものばかりだしたんだんだけど、CONTAXレンズで撮ったものは出せなかった。でもSimera-Cで撮ったものは出せた。
ちなみに講評の際「ふうん、いいですねぇ、好きですよぉ〜、もっと見せてください」だけで終わった。可もなく不可もなかったのかと落ち込んだ。そして次の講評でも全く同じことを言われた。
落ち込みそうになったけど、全く同じことを二度も言われたのでこれはもしかしたらマジで言ってくれてるのかもしれない、いやそうに違いない!と受け止めることにした。巨匠に二度も好きですと言われた。誇ろう。
素晴らしいレンズを手に入れたら相応しい場所に行かないとな。
もう50歳、大人っぽくT2で撮り上げました。それではご覧ください、江之浦測候所。



先の頭部の逆光やこの水面の光の反射のような描写、シネマレンズならではの性能だ。Thypochのレンズはそこに注力してそうな感じが伝わってくる。わかっとるな…
ほんと国産メーカーよぉ…

奥の岩盤のボケ具合と分離の自然さ、もうほんとビックリしたわ。完全に中判の写りだと思う。

言わずもがな前ボケも。

近接からの大ボケにしても本当に美しい。温かみを感じる。

な、グルグル感ないでしょ?ほんとに。

よくボケるレンズは世にたくさんあるけれど、例えば右の頬の背景との溶け方、変な収差の色や二線ボケのような汚い線も見えない。
CONTAX Planar 50/1.4のレビューを見て欲しいのだが、よく見るとほぼ全ての被写体の輪郭がうまく溶けていない。色収差だったり二線ボケが見える。
愛するニコンのレフ機時代のレンズも大体そう。
その点Simeraは極上だ。
ここから解放T1.5。


こういう写真オールドだと奥のボケに二線ボケが現れてガチャガチャした描写になりがちだが、ゴワッとしつつスッとしてる。
やっぱね、ボケがガチャガチャしすぎなのはちょっと恥ずかしいお年頃。もう50歳なので。

たまに出るけど正午の晴天下でもフリンジは気にしなくてもいいと思う。コントラストも抑えられている。
コントラストの強いミラーレスレンズ、晴天下で撮ったものをどういじっても柔らかくなりづらい。そもそも強くする必要なんてあるのだろうか。どこのニーズだろう。
まあでも晴天下でわざわざ撮らない、それに尽きる。

中判並みのボケということは望遠並みのボケとも言える。感じるよな。

解放T1.5、強い。
そして最後にT2.8で撮ったもの。

娘は車内でニヤニヤしていることが多い。ヤバいやつだ。



カリカリになるなんてこともなく上質。絞っても雰囲気そのままでいい。
「絞るといろんなレンズの表現が楽しめます」じゃねーよ。同じテイストで被写界深度だけ変えろや。
あ、失敬、オホン。
さてどうだったでしょうか?中判並みのボケ量、見事なボケテイスト、優しい立体感。
上質な描写もフィルムライクも難なくこなすポテンシャル。
完璧だといいたいところだけど、物足りない点がある。
前回、前々回とCONTAXレンズを紹介したが、これらと描写の違いに気づいただろうか。
CONTAXのレンズにはわりと大きな欠点があったりしつつもとにかく光に艶があり生々しさが写る。それは本当に写真が生む奇跡のようなものだ。
光の煌めきこそがそこにある命を感じさせてくれる。CONTAXのレンズ以外だとランキング1位のバケペン90/2.8にも写ってくる。
Simera、その光の煌めき、艶感がちょっとこないかな……
シネマレンズとかに多いと思う、しっとりというかやや燻んでいるというか。それは上質感とも言えるし欠点ではない。なんならこっちの方が好きだと言う人のほうが多いかもしれない。生々しいのは嫌だとかね。
でも奇跡の一枚は生まれないなと思う。
それでも画面端まで端正に撮れること、中判並みの大らかなボケ、柔らかな線、総合的に見て1位とさせてもらった。
100点満点、完璧!ではない。それでもよく走ること、守備をサボらないこと、調子の波がないことの方が大事だったりする。
代表レベルになるとファンタジスタは外される。
そういうわけで50mmレンズ道、完結とさせてもらいます。これ以上はない。本当にそう思う。
完結話としては少しだけ悲しいけれど、やっと出会えたなととても満足している。
仕事でもバンバン回しています。
AFではないけどAF化アダプターもよく効くので国産マウントではなくMマウントを買うことを薦める。
一生使える本当に素晴らしいレンズです!
とにかく50mmを買うなら最初にも最後にもこの一本、これだけでいい。
前前回紹介したPlanar 50/1.4、フルサイズ枠1位入れておきながら一週間も経たずにあっさり1位陥落。Distagon 35/1.4より下とか踏んだり蹴ったりになっちゃいましたwあははw
まあでもそれくらいSimeraもDistagonもいいレンズ。ぜひ手に入れて使ってみてください。
お終い。
おまけ
Simera-C 35mm / T1.5についても語ろう。
50mmが大絶賛だったのだから35mmも単独でレビュー、、と言うわけでもなかったのだ。
その辺りも合わせてレビューしたい。

同じくT2で撮っている。上質な写り。
直射日光も柔らかく写す抑えられたコントラスト。




なんかいい写真だなという空気感を写せる。
いや、曖昧なこと言ってますが、とても大事なことですから。
ふと(あ、いいな)と思ったその空気を写せること、撮った後パソコンに取り込んだら退屈な写真になってしまってたなんてことよくあると思う。でもそのとき(あ、なんかいいな)って思った衝動は間違いなくあったはずで、撮れてなかったらそれは何かが足りなかったということ。
なぜか中判で撮るとそういうことがなくなる。それと同じことがSimeraでも起こってくる。
よくわかんないですよねw
最近(ふとした衝動)についてよく考えてます。

これはT1.5、フレアも入る。

T1.5だとボケも優しく大らか。ザワザワ感もある。

これはT2.8、ほんとにライカ用と同じ設計なのかなあ。めちゃシネマレンズ設計に感じる。
フレアが本当に美しくフィルムライクな現像との相性もいい。フリンジはさらに抑えられている。
と、文句のない写真たちを見てもらいました。いいでしょ?いいんだよ。
でもなあ、バランス良過ぎ、描写上質すぎ??大人しいというかちょっと優等生というか。
いやほんといい仕事してくれると思う。買って損などひとつもない。
上質と言っても昨今の国産ミラーレスレンズに比べたらざわざわしてて全然オールド感あるしパッキパキなんてこと全然ない。ほんと50mm同様、極上のレンズです。
でもここはDistagon 35/1.4を上位に推す。
ビックリすることがないんだよなあ。。
Dsitagonがあまりに良すぎだな。
そんなわけでおまけでしたw
たぶんこのレビューは何度でも見ることになると思う。
そしたらYoutubeも何度でも見るんだよ、もしかしたら動画増えてるかもしれないからな。
チャンネル登録もな!頼むぞ。

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